【建設業】一人親方の今後(将来像)生き残っていく方法も紹介

【建設業】一人親方の今後(将来像)生き残っていく方法も紹介

この記事で解説できるお悩み
  • 建設業の一人親方の今後はどうなるのかな?
  • 一人親方は今後どうしたらいいのかな?
  • 一人親方が今後、生き残っていく方法が知りたい!
宮本 琉叶
宮本 琉叶

こんな悩みを解説できる記事を書きました。

私は現役の現場監督で優秀な一人親方をたくさん見てきました。

ご紹介する「建設業に一人親方が今後、生き残っていく方法」を実践すれば、具体的にどう行動すべきかがわかりますよ。

まずは、「一人親方の概要」をまとめているので、ぜひ読み進めてみてください!

一人親方とは

一人親方とは

「一人親方」とは、従業員を雇用せずに自分自身、あるいは家族のみで特定の事業を運営する個人のことを指します。例えば、建設業で自身だけ、または家族と共に事業を行う人々がこれに該当します。さらに、年間で従業員を雇用する日数が100日未満の場合、その事業主も一人親方と認識されることがあります。

一人親方の歴史

職人の世界には、見習い、一人前の職人、一人親方、そして親方という四つの段階が存在します。現代における親方は、一般的には工務店や事業所の経営者としての役割を担っており、職階の中で最上位に位置しています。

町の大工として知られる職人は、一般的には施主から直接家屋建築の仕事を請け負い、親方、職人、見習いの三つの階層から構成される集団で活動します。

独立して一人親方となる者は、職人としてのスキルを持ち、必要に応じて他の職人を雇い入れることで契約をこなします。これは、特定の建設プロジェクトで仲間の協力を得ながら作業を進める一人親方の組織形態とされています。

大工の場合、設計から始まり、必要な材料の選定、見積もりの作成、専門業者の手配、工程管理に至るまで、建物の完成に必要な全ての工程を独力でこなす能力が求められます。

一人親方になるためには、最短で7〜8年、通常は約10年の経験が必要とされ、経験が積まれるにつれて収入も増えていきます。

建設業の現場が電動工具や新しい建材の導入により単純化されてきたことで、従来の見習い制度を経ずして建築職に就く道が開かれ、建築職人の職業構造自体が近代的な生産方式へと変化しています。

【建設業】一人親方の今後(将来像)

【建設業】一人親方の今後(将来像)

一人親方の今後は以下のとおりです。

  • 技術革新と働き方の変化
  • 業務拡大や新規参入のチャンス
  • 制度変更後の可能性

順番に解説します。

技術革新と働き方の変化

建設業界における技術革新が、一人親方の仕事のスタイルに大きな影響を及ぼしています。ドローンの使用、人工知能、ビッグデータの活用といった革新的な技術は、作業の効率を高め、安全性を強化することで、一人親方が行う作業の質や量に顕著な変化を引き起こしています。

業務拡大や新規参入のチャンス

新しい保険制度の導入は、一人親方だけでなく建設業界にも広範な影響を与えることになります。強化された社会保障体系は、労働者にとって魅力的な要素となり、この業界への新たな参加者を引き寄せる効果が期待されます。これにより、建設業界は多種多様な技術や新しいアイデアが寄せ集まる革新的なフィールドへと進化する可能性が高まります。

制度変更後の可能性

2024年問題への対策としての制度改革は、一人親方の直面するリスクを緩和する役割を果たします。これにより、個人経営者も社会保険のメリットを享受できるようになり、病気や事故で仕事ができなくなった際にも、安定した収入を保障することが可能となります。

【建設業】一人親方制度は今後、廃止されるのか?

【建設業】一人親方制度は今後、廃止されるのか?

以下の2つについて具体的に解説します。

  • インボイス制度
  • 偽装一人親方問題
  • 2024年問題

順番に解説します。

インボイス制度

「インボイス制度」は、売り手が買い手に消費税の正確な額を伝達するためのシステムです。この制度下では、サブコントラクター(売り手)は元請業者(買い手)に適格請求書(インボイス)を提出し、具体的な消費税額を通知する必要があります。

元請業者は、提出されたインボイスを保存し、これを基に消費税の仕入れ額控除の適用を受けることができます。インボイスの発行は適格請求書発行事業者に限られており、消費税を納める事業者のみがこの資格を持てます。

その結果、元請業者はインボイス発行能力のある業者と取引を優先し、適格請求書発行事業者でない場合は仕事の機会が減少する可能性があります。

これまでは年間の課税売上が1,000万円未満の事業者は消費税の納税が免除されていましたが、インボイス制度の導入により、この売上基準未満でも消費税を納める選択をする事業者が増加するかもしれません。

このように、一人親方を含むサブコントラクターは、消費税を納めてインボイスを発行するか、または発行権限のない業者として活動を続けるかの選択を迫られます。この状況が、一人親方の中に廃業を選ぶ者が出るという懸念を生んでいます。

偽装一人親方問題

偽装一人親方問題とは、本来雇用契約の下で働く従業員であるにもかかわらず、企業が社会保険料の支払いを避けるために請負契約という形で一人親方として取り扱われるケースを指します。

政府は、建設業界における社会保険の加入を推進するため、令和2年10月から建設業の許可取得時に社会保険への加入を義務付けるなどの措置を実施しています。

この政策がもたらす懸念の一つは、社会保険料の負担を避けるために偽装一人親方の数が増える可能性があることです。そのため、政府は偽装一人親方の根絶を目的とした対策も平行して行っています。

この取り組みによって、元請業者は偽装一人親方の使用を控えるようになると考えられます。問題の核心は、偽装一人親方が減少する一方で、正規の一人親方の需要は依然として維持されることです。

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【建設業】一人親方は今後どうしたらいいのか?

【建設業】一人親方は今後どうしたらいいのか?

一人親方は今後、以下のような対策をしましょう。

  • 企業で正社員として働く
  • 最新技術や制度を活用する

順番に解説します。

企業で正社員として働く

一人親方として独立して働く以外にも、企業に所属する選択肢があります。最近の傾向として、従来のサラリーマンスタイルではなく、社員でありながらも経営者のように自由に仕事を進められる職場が増えています。このタイプの企業であれば、これまでの経験を生かしつつ、ストレスの少ない環境で働き続けることが可能です。

最新技術や制度を活用する

一人親方として活動する際は、最新の法律、技術、制度について常に情報を更新しておくことが重要です。特に注目すべきは、国土交通省が進める建設キャリアアップシステムの導入です。

このシステムでは、建設業に従事する技能者の資格、保険加入状況、就業履歴がデジタル上で管理され、適切な評価が可能になります。このシステムを利用することで、自身のキャリアを効果的にアピールし、仕事の獲得や収入向上に役立てることができます。

建設業に一人親方が今後、生き残っていく方法

建設業に一人親方が今後、生き残っていく方法

建設業に一人親方が今後、生き残っていく方法は以下のとおりです。

  • グリーンサイトを活用する
  • 請負金の反映を行う
  • 税金に関する知識をつける
  • キャリアアップシステムを活用する
  • 建設業許可を取得する

順番に解説します。

グリーンサイトを活用する

一人親方やその他の下請業者が工事現場に入る際には、元請業者へ「グリーンファイル」と呼ばれる労働・安全に関する書類の提出が必須です。この書類の作成から提出、確認プロセスをクラウドサービスで行うことができる「グリーンサイト」というサービスがあります。このサービスを利用することで、書類の作成が効率化されるだけでなく、誤記入や情報の更新忘れを防ぐことが可能です。

初期設定費用が10,000円、年間基本使用料が4,800円かかりますが、多くの企業に採用されているこの便利なツールを積極的に使用することをお勧めします。

請負金の反映を行う

建設業界では、一人親方が請負金額の設定においてしばしば不利な立場に置かれることが多いです。これは、元請け企業が一人親方の見積もりを無視して、一方的に低い金額で契約を強いる「指値発注」と呼ばれる行為に起因しています。

この結果、請負金額が不足して利益が確保できず、社会保険への加入を見送る一人親方が出現することもあり、場合によっては経費も賄えない事態に陥ることもあります。国土交通省がこの問題に対処しているものの、このような行為は建設業法に違反する可能性もありますので、自身の権利を保護するためにも必要な知識を身につけることが重要です。

税金に関する知識をつける

税務知識を深めることにより、支払う税金を減らし、経営の安定を図る方法があります。一人親方は個人事業主として分類されるため、自分で開業届を提出し、税金の納付が必要です。ただし、独立した形式のみで実際には適切な手続きを踏んでいない一人親方も少なくありません。

適切に届け出を行い社会保障を整えることは、事故や怪我が発生した際に自己を守ることに直結します。独立に際して必要な手続きを以下の3つに整理しました。

確定申告の実施

年度末に行う確定申告で、年間の収入を税務署に申告します。確定申告を行わないと、収入証明ができず、金融機関からの融資などが受けられなくなる可能性があります。白色と青色の2つの申告方法があり、白色がシンプルですが、青色申告では記録管理が増える代わりに特別控除や赤字の繰越が可能です。収入と支出の記録を常に整理しておくことが重要です。

社会保険への加入

社会保険への加入は、ほとんどの建設現場で入場条件となっています。「社会保険未加入者は特別な場合を除き現場入場を認めない」との下請け指導ガイドラインが設けられています。元請けからの指示に従い、固定単価で働く場合は元請けの社会保険に加入することになりますが、出来高制で働く場合は自らが社会保険に加入する必要があります。国保または国民年金には加入しておくべきです。

労災保険の特別加入

労災保険への加入は必須ではないものの、一人親方にとっては非常に推奨されます。「一人親方特別加入制度」を利用することで、労災保険への加入が可能になります。これにより、業務中の事故や怪我の治療費がカバーされるほか、長期にわたる休業や身体障害が残った場合の補償、さらには死亡時の遺族への補償も受けられるようになります。

民間保険加入

民間の雇用保険には、通常、個人事業主である一人親方が加入することはできませんが、特定の条件下での加入が可能です。

具体的には、一人親方が元請け企業の直接の指示のもとで働いており、週に20時間以上、期間が31日以上の雇用が保証され、かつ学生でない場合、雇用保険への加入が義務付けられます。この保険に加入している場合、失業時にはハローワークを通じて失業保険の給付を受けることができます。

そのため、元請け企業との請負契約の詳細を確認し、条件を満たしている場合は加入することが推奨されます。

キャリアアップシステムを活用する

平成31年から導入されたキャリアアップシステムは、職人が自身の技能や資格、就業履歴を登録し、これを事業者に提供できるプラットフォームです。

このシステムの広がりによって、事業者はより客観的な基準で下請け企業を選定できるようになりました。国土交通省は、令和5年までには全国の工事現場でこのシステムを普及させることを目標としています。現在、多くの大企業ではこのキャリアアップシステムのカードを用いて入場管理を行っており、カードがないと作業に参加できない事例が増えています。

建設業許可を取得する

建設業許可を取得することで、仕事の範囲を拡大しましょう。許可がなければ、材料費を含む500万円未満の小規模工事のみ請け負うことが可能ですが、その範囲は非常に限られています。建設業許可を持つことにより、1件あたりの工事で受けられる最大金額が3,500万円までと大幅に増えます。

ただし、許可を取得すると社会保険への加入が義務付けられます。社会保険への加入と建設業許可の取得により、社会的な信用を得るとともに、事業の安定性も向上します。

まとめ【一人親方は今後、生き残る!】

建設業界の一人親方の将来は、技術革新や制度改革に大きく影響されます。

ドローンやAIの導入、社会保険やインボイス制度などの新しい制度が普及しつつあり、これらに適応できるかどうかが重要です。特に、国土交通省が推進するキャリアアップシステムや、グリーンサイトの活用は今後の仕事の確保に繋がります。さらに、建設業許可の取得で仕事の幅が広がり、社会保険への加入も事業の信頼性を高めます。将来のリスクに備え、最新の制度を理解し、積極的に利用していくことが生き残りの鍵となります。

重要なポイント
  • 技術革新の適応:ドローンやAIなどで効率向上
  • キャリアアップシステム:技能や資格の登録で評価向上
  • グリーンサイトの活用:書類作成の効率化とミス防止
  • 社会保険への加入:信頼性と安定性を確保
  • 建設業許可の取得:業務範囲を拡大し、安定した収益を目指す