現場代理人の兼務が可能な条件|現場代理人の仕事内容も紹介

現場代理人の兼務が可能な条件|現場代理人の仕事内容も紹介

  • 「現場代理人の兼務が可能な条件が知りたい」
  • 「現場代理人の兼務は何件までできるのかな?」
  • 「現場代理人の仕事内容が知りたい」

などとお考えではありませんか?

本記事では、現場代理人の概要と併せて、現場代理人の兼務が可能な条件、現場代理人の兼務ができないケース、現場代理人と主任技術者の違いについて解説します。

最後まで読むと、現場代理人の兼務が可能な条件がわかります。

プロフィール背景画像
プロフィール画像

宮本 琉叶

8年目の現場監督です。建設業界のリアルな事情や転職成功の秘訣などを発信していきます。私の記事を読むと最新の仕事事情がわかるため、入社時のギャップを減らせます。

最近の投稿

もっと見る

現場代理人とは

現場代理人とは

現場代理人は工事請負業者の代表として工事現場の全体的な管理を担う役割です。通常、工事請負業者の経営者が直接現場を監督することが理想ですが、複数の現場を同時に抱える場合、経営者一人で全てをカバーするのは非現実的です。そのため、従業員から現場代理人を選任し、現場の日々の管理を任せることが一般的です。

現場代理人の責任範囲は広く、安全管理、工程の調整、請負金の管理、関連業者との協議、地域住民や周囲の企業からの苦情対応など多岐にわたります。

法律による現場代理人の配置義務は特にないものの、実際には多くの場合、請負契約や「公共工事標準請負約款」に基づき配置が求められています。公共工事では配置が義務付けられているものの、常駐義務が緩和される場合もあるため、全ての現場で常時配置が必要というわけではありません。

施工管理は現場に出ないのか?仕事内容や求められる力を紹介 施工管理は現場に出ないのか?仕事内容や求められる力を紹介

現場代理人の兼務は何件までできるのか?

現場代理人の兼務は何件までできるのか?

多くの場合、現場代理人は2~3件の工事現場を同時に兼務することが許されていますが、その許容範囲は工事の規模に依存します。例えば兵庫県では、請負代金が3,500万円以下の工事であれば、現場代理人は最大3件の工事を兼務できるとされています。

兼務を行う際には、関連する各市区町村の役所への届出が必要となります。

現場代理人の兼務が可能な条件

現場代理人の兼務が可能な条件

現場代理人の兼務が可能な条件は以下のとおりです。

  • 主任技術者との兼務
  • 国土交通省「現場代理人の常駐義務の緩和」の条件にあてはまる
  • 複数現場の現場代理人兼務

順番に解説します。

主任技術者との兼務

主任技術者、監理技術者、または専門技術者が専任でない場合、現場代理人の役割を兼務することが可能です。しかし、以下の三つの条件のいずれかに該当する場合には、主任技術者や監理技術者を専任で配置する必要があります。

  1. 公共性が高い施設や工作物
  2. 多くの人々が利用する施設や重要な建設工事に関わる工作物(民間工事を含む)
  3. 工事の請負金額が4000万円を超える場合(建築一式工事であれば8000万円以上)

一般的に、規模が小さく管理が比較的容易な工事現場では、主任技術者が現場代理人の職を兼務することが多いです。

国土交通省「現場代理人の常駐義務の緩和」の条件にあてはまる

国土交通省によると、特定の条件を満たした場合、現場代理人が工事現場に常駐する義務は緩和されることが認められます。

具体的には、「現場代理人の常駐義務の緩和」条件は次のように定められています。

  1. 発注者が、工事の運営や現場管理、現場代理人が持つ権限の行使に影響がないと認めた場合
  2. 発注者が、適切な連絡体制が整っていると判断した場合

これにより、発注者の承認があれば、現場代理人が複数の現場を兼務することが可能です。

ただし、この緩和が適用されるのは主任技術者や監理技術者が専任ではない場合であり、これらの役職者が現場代理人を兼任する場合には、緩和条件は適用されません。

出典:国土交通省「現場代理人の常駐義務の緩和」

複数現場の現場代理人兼務

特定の条件下で、一人の人材が複数の建設現場で現場代理人を兼任することが許可されます。この許可を得るためには、以下の二つの基準を満たす必要があります。

  1. 互いに関連性があるか、または施工の過程で相互調整が必要な工事であること。
  2. 現場同士の距離がおおよそ10km以内であること。

これらの条件が満たされれば、通常、一人が最大で2つの現場を同時に管理することが認められます。

【現役現場監督が解説!】現場管理費の内訳|一般管理費との違いも解説 【現役現場監督が解説!】現場管理費の内訳|一般管理費との違いも解説

現場代理人の兼務ができないケース

現場代理人の兼務ができないケース

現場代理人の兼務ができないケースは以下のとおりです。

  • 特例監理技術者との兼務
  • 各都道府県が定める条件に該当する
  • 営業所の専任技術者との兼務

順番に解説します。

特例監理技術者との兼務

特例管理技術者は、複数の建設現場の監理を可能にする特別な制度の下で認められた監理技術者です。この制度により、通常は各現場に一人専任が必要な監理技術者が、専任の補佐者を配して複数現場の監理を行うことが許可されます。

この制度は、2020年10月1日に施行された建設業法の改正によって導入されました。任命資格を持つ監理技術者であれば、誰でもこの特例の適用を受けることが可能です。

ただし、特例管理技術者が兼務できるのは最大で2つの現場までです。また、監理技術者が現場代理人を兼ねることは許されていません。この点は、監理技術者の役割が厳密に監督業務に限定されているため重要です。

出典:建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第四十九号)

各都道府県が定める条件に該当する

現場代理人が複数の現場を兼務する際には、国土交通省が設けた基準と各地方自治体の規則も重要な考慮事項となります。

具体的な兼務の条件を例として挙げてみましょう(2023年8月時点)。

茨城県では、以下の条件が適用されます。

工事の予定価格が4,000万円(税込)以下の場合
  • 最大で2件まで兼務可能
  • 契約工期が重複し、工作物に一体性がある複数の工事
  • 災害復旧工事である場合、原則として同一市町村内での2件の工事が可能

神奈川県では、次のような条件が設定されています。

  • 工事の契約額が2,500万円(建築工事の場合は1,000万円)未満
  • 兼務する各工事に連絡員を配置
  • 現場代理人が工事現場を離れる際には、連絡員が現場に留まること
  • 兼務の上限は2件
  • 現場代理人が担当する工事の発注者が神奈川県の公共機関であること
  • 各工事の契約額が2,500万円(建築工事は1,000万円)未満であること

このように、地域によって現場代理人の兼務に関する条件が異なります。また、社会情勢の変化によって規制が変更されることもあります。

例えば愛知県では、令和4年から令和5年にかけて兼務に関する運用方法が改定されました。

新しい建設プロジェクトを始める際には、最新のルールやその改定を確認し、適切に対応することが必要です。

出典:現場代理人の兼務について

出典:神奈川県「神奈川県ホームページ」

出典:愛知県

営業所の専任技術者との兼務

営業所専任技術者は、営業所に常勤し、特定の業務に従事する技術者であり、現場代理人の役割を兼務することはできません。

この専任技術者に関する定義や役割は、建設業許可に関する事務ガイドライン・マニュアルにて明確に規定されています。

主任技術者や監理技術者が現場での指揮を執るリーダーであるのに対し、営業所専任技術者は営業所内での業務を指揮します。具体的には、営業所内での技術的な検討、発注者への技術説明、建設工事の見積もり作成、入札業務などが主な職務です。

そのため、営業所専任技術者は営業所に留まる必要があり、現場代理人としての兼務は許されていません。

出典:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン・マニュアル」

現場代理人と主任技術者の兼務

現場代理人と主任技術者の兼務

法律には現場代理人の兼務についての特定の規定がなく、小規模な工事であれば、現場代理人が主任技術者としても兼任することが一般的です。ただし、現場代理人の常駐が必要ない場合、以下の三つの条件を全て満たすことで主任技術者や監理技術者との兼務が許されるようになりました。

  1. 兼任する工事の件数が少ないこと
    (例えば、2〜3件程度で、工事の規模や内容、現場の近接性に依存します)
  2. 兼任する工事の現場間の距離(移動時間)が一定範囲内であること
    (工事の規模や内容、兼任する工件数によるが、通常は同一市町村内とされる)
  3. 必要に応じて、発注者や監督員の要請に応じて迅速に現場に出向く等の対応を取ること

ただし、主任技術者や監理技術者の場合、専任義務は緩和されていないため、その点には特に注意が必要です。

主任技術者と現場代理人の役割と兼任の可能性 主任技術者と現場代理人の役割と兼任の可能性

現場代理人と主任技術者の違い

現場代理人と主任技術者の違い

主任技術者は技術的な専門知識を必要とし、工事計画の成否に重要な役割を果たします。特に、現場で技術的な問題が生じた際には、その解決と従業員の技術指導やトレーニングを担います。

以下は現場代理人と主任技術者の主な違いです。

現場代理人
  • 役割:工程管理や安全管理など、現場全体の監督
  • 配置義務:法的義務はないが、契約により必要とされる場合がある
  • 必要な人材:施工会社の正社員であれば技術系でなくても可
主任技術者
  • 役割:技術的な判断の指導や現場でのトレーニング
  • 配置義務:建設業法により配置が義務付けられている
  • 必要な人材:技術系の職員が必要

兼務に関しては、一部の場合に制限があり、現在(2023年4月時点)でその可否についての見直しが検討されています。将来的にはこの部分に変更が生じる可能性があるため、注意が必要です。

【結論】現場監督は勝ち組!その理由とは?勝ち組になるための方法も紹介 【結論】現場監督は勝ち組!その理由とは?勝ち組になるための方法も紹介

現場代理人の仕事内容

現場代理人の仕事内容

現場代理人は、経営者の代わりとして工事現場での責任者の役割を果たします。理想的には、経営者自身が現場の責任者であるべきですが、多数の現場を同時に管理するのは一人の経営者には現実的ではありません。

そのため、経営者は現場代理人を指名して、工事現場の責任を委ねることになります。現場代理人の主な業務には、現場に常駐し、工程管理や安全管理、現場の全体的な運営と監督を行うことが含まれます。また、経営者に代わって請負代金の請求や変更などの重要な業務を行う権限も持っています。

現場代理人の配置は建築業法で義務付けられているわけではないものの、特に大規模な公共工事においては現場代理人を配置することが推奨されています。

さらに、現場代理人の選任や権限については、発注者に対して書面で通知する必要があります。これには現場代理人の具体的な権限範囲や、契約変更や解除など予期せぬ事態における責任の範囲も含まれるべきです。

国土交通省が定める「公共工事標準請負契約約款」では現場代理人が広範な権限を有すると記されていますが、実際にはその権限には一定の制限があり、現場代理人の役割と責任は具体的に定められています。

まとめ【現場代理人は2~3件の工事現場を同時に兼務できる】

現場代理人は工事現場の運営責任者として、工程管理や安全管理などを担います。経営者が直接全現場を監督するのは困難なため、現場代理人がその役割を果たします。法律による配置義務はないものの、多くの請負契約や公共工事では現場代理人の配置が求められます。兼務は、工事の規模や地域の規制によって異なり、通常は2〜3件までが可能です。主任技術者や監理技術者との兼務は条件を満たす必要があり、その兼務可能性についての見直しも進んでいます。

特に重要なポイント
  • 現場代理人は経営者の代理として現場の責任者を務める。
  • 多くの場合、請負契約や公共工事で現場代理人の配置が必要。
  • 兼務は工事の規模と地域の規制に依存し、通常は2〜3件まで許可される。
  • 主任技術者や監理技術者との兼務は特定の条件下でのみ可能。